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ひとつ憶えの酔狂な夜を潜り抜けたらば
小脇に抱えた蒼白の明日を持て余して
花に集まる虻の群れを追い拂うような素振りで
花の無いあとに虻を求めているのは何処の何奴だ
鶴の白さも黒と見るような誇り高げな美意識を
自作自演の檻の中で振り回したり翳したり
ひとつ憶えの錆付いた鎧纏って今夜も振出しに戻る
なよなよと咲いた撫子の花に
寒苦の鳥は得意げに語るけれども
抽斗はとうに朽ちていて
湾曲目線でモノを見詰めた安請け合いの創造に
裸の女が群がる様を想像してる蟋蟀
迷える世界の痛しい事実を端から端まで並べ立て
暴いたつもりで暴かれてくのは何時でも自分の安っぽい科白
なよなよと咲いた撫子の花に
寒苦の鳥は得意げに語るけれども
抽斗はとうに朽ちていて
幻に付き纏われて生温い春を待ち侘びる
何時の日か雨の滴も集まってその羽を濡らす